baby blue

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ミリオンズ




ある日、空から大金が降ってきたら。
母親を亡くして新しい街に越してきた二人の幼い兄弟。そんな兄弟がある日空から降ってきた大金を手にする。しかしポンドからユーロへの切り替えで、12日間で使い切らなければならないとしたら。弟ダミアンはお金を神様からの贈り物だと考え、貧しい人々の為に使おうとするけれど・・・。
とっても素敵なお話でした。今年見た単館系の映画では一番かもしれない。ダニー・ボイルの作品は久しぶりに見たけれど、イギリスに戻ってやっぱ正解ですね。
母を亡くしたダミアンやお兄ちゃんのアンソニーの寂しさが見ててひしひし伝わってきて、何回も泣きそうになってしまった。とにかくダミアンが純粋無垢で、その事にもうじんと来た。この子役は本当にダミアンそのもののようでした。それに対してアンソニーはお兄ちゃんだから、自分でその役割を理解していて、大人に対してもうまく振舞おうとするけど振舞いきれない。自分も母親がいなくなって寂しいはずなのに、弟の手前それを見せずに強がってるんだなあってのが見てて少し痛々しくて、胸が痛んだ。父親に新しい恋人が出来そうになると、ひたすらその人を拒むアンソニー。弟をしっかり守ろうとしていても、まだ自分だって本当は母親が恋しいよね。とにかく、この兄弟がほんとに素晴らしかった。
ダミアンだけに見える聖人やラストの奇跡などのファンタジー的要素は、多分受け付けない人にはダメなんだろうけど、私は全く違和感なく入り込めました。ダミアンの目を見てると本当にそう言う奇跡は起こり得る気がしたから。聖人に会うたびに、「聖モーリーンに会った?」とひたすら母親の心配をする。ああ、お母さんに会いたいんだなあ・・・って思った。だからこそラストの奇跡は本当に泣けた。ポネット [DVD]を思い出しました。お兄ちゃんにもちゃんと奇跡が起きて、本当に良かった。
音楽も素晴らしかったです。思わずサントラ買ってしまいました。公式でも流れてる曲がラストでかかった途端もうだだーっと涙が。この映画にすごくぴったり。あとはエンディングがFEEDERだったり、他にもMUSEとかTHE CLASHとかも使われてます。
あとはとにかく色が本当に綺麗。空の抜けるような青、花畑の鮮やかな黄色。それを見ただけですごく引き込まれた。それと映像自体や光もリアリティがありつつも幻想的で本当に綺麗で、現実からそう離れていないところに奇跡ってあるんじゃないかと本当に思えた。
何て素敵なお話なんだろう。とにかく本当に感動しました。子供たちの純粋な目を見てると、斜に構えてこの映画を見る事なんて不可能。本当にびっくりするくらい心が洗われました。今みたいな時代だからこそ、こんな作品に出会えて良かったと心から思う。
最後にパンフレットに載っていたとても印象的な言葉を。

人生には二通りの生き方がある
一つは、奇跡など全くないかのように生きること
もう一つは、全てが奇跡であるかのように生きることだ
                 −アルバート・アインシュタイン

★★★★★ 5