baby blue

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リリア 4-ever

◆あらすじ
旧ソ連のうらぶれた街に暮らす16歳のリリア。母とその彼氏とのアメリカ移住を喜んだのもつかの間、彼らはリリアを一人残して去っていった。見る間に悲惨さを増す生活の中、リリアの前に現れたアンドレイ。スウェーデンで一緒に暮らそうという彼の言葉にリリアは目を輝かせる。が、彼女を待ち受けていたのは非情なる現実だった。

http://www.cinefil.co.jp/choku/movie/movie299.htmlより引用

以前ちょっと書きましたが、久しぶりに終わったあと呆然としてしまう衝撃的な映画を見ました。この映画は最初、主人公リリアの走っている場面から始まるのですが、そこからぐぐっと引き込まれて、一気に見てしまいました。
母親は追いすがるリリアを置いて非情にも去って行く。残されたのは、わずかなお金と部屋だけ。そこには未来に何の希望も夢も無く、明日さえどうなるかわからない。この作品にはそんな真っ暗な絶望感が常に漂っています。
それでも、そんな絶望の泥沼に引きずり込まれそうな日常の中で、リリアは近所の少年と少しづつ心を通わせていく。ほんの少しだけ、真っ暗な闇の中に差した光。それはリリアにとっても少年にとっても、とてもとても大事な光だった。けれど、リリアはスウェーデンに行く事でその光を失くしてしまう。
本当に、見ていて辛かったです。どう見ても幸せが待っている訳は無いのに、リリアは騙されてしまう。そして、決して抜け出すことの出来ない闇が彼女を待っているのです。
スウェーデンって福祉先進国だったはず。それでもこれが現実。こんな人身売買が実際に行われていると言うのは、この日本にいると別世界の事のように思えるけれど、日本人の男性だってこの作品に出てくる男性と同じ行為をしている人は沢山いる。そして、このリリアのような思いをしている少女だって山ほどいるのが今の世界。
少年と離れてスウェーデンにいるリリアの元へ、少年がやってくるシーンは涙が止まりませんでした。最後は、ああすることでしかリリアが救われなかったと言うのが悲し過ぎる。どうしようもないんだけど、そのどうしようも無さがリアル過ぎて辛かった。
一言で言うと、とても悲惨な話でした。最初から最後までとても重苦しいし、後味も決してよくありません。けれど、こう言う作品こそもっと広く見られるべきです。この作品が日本では公開はおろか、DVDすら出ていないのが本当にあり得ない。日本の配給会社はどこに目をつけてるんだか。