baby blue

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ミスター・ロンリー(ちょっとネタバレ)




3/1、シネマライズにて。マイケル・ジャクソンのモノマネをして生きている青年が、マリリン・モンローのモノマネをしている女性と出会う。そしてマイケルは、「そっくりさん」ばかりが集う城で、彼らと共同生活を始める。マイケルのストーリーと平行して、布教活動をしている修道女たちのストーリーが進みます。
そっくりさんたちばかりの城は、言ってみれば彼らにとっては桃源郷。でも、ニセモノの生活。殻に閉じこもった、外界とは遮断された世界。長くは続くはずもない。ある出来事をきっかけに、終わりを告げます。一方、修道女に起きた奇跡も、もちろん長くは続かない。奇跡は、続かないから奇跡なのであって。この修道女とマイケルたちのストーリーが微妙にリンクしていて、最後に深く納得させられた。そしてマイケルもマリリンも、最後まで「名前」が出てきません。それもすごく意味があるんだろうな。
誰でも、自分自身に疑問を抱きながら、迷いながら、生きている。そんな迷いの中で、暗中模索を続ける青年。答えは出ていないし、出るかどうかもわからない。でも、それでも一歩ずつ、前に進むしかない。そんなことを考えたりした。フランスの群衆の中で、街にひとりたたずむマイケルがさびしそうでもあり、でも強くも見えた。
にしても、ドニ・ラヴァンが、マリリンの「チャップリンと言うより、ときどきヒトラーに見えるわ」と言う台詞のあとから、ヒトラーにしか見えなかった。あとレオス・カラックス、久しぶりに観たけどやっぱ素敵。余談ですけど、TOKYO!がすごく楽しみです。