baby blue

music / film / miscellaneous

さよなら。いつかわかること



5/29、伏見ミリオン座にて。
ジョン・キューザック演じる父親スタンレーと、2人の娘、ハイディ、ドーン。スタンレーの妻グレイスは、陸軍の軍曹でイラクに単身赴任中。ある日、グレイスの訃報が届く。スタンレーは、妻の死を言わないまま娘たちを遊園地に連れて行く…。
予告でちょっとじんと来て、是非観たいと思ったので行って来ました。
母親の戦死を、娘にどうやって伝えたらいいかわからないスタンレー。その悲しみ、とまどい…。静かに進んで行く物語の中、彼のそんな感情がひしひしと伝わって来ました。彼が直接感情を吐露する台詞はあまりないのだけど、観ているこちらも胸が詰まりそうになりました。流れて行く景色や、夜の駐車場。そんな場面のひとつひとつ、全てがとても切なかった。
俳優さんは子役も含めてすごく良かったんですけど、やはりジョン・キューザックが素晴らしかったです。彼のくたびれた感じが、やり切れない悲しみを体現していました。彼をスクリーンで観るのは久しぶりだったんだけど、味のある、すごくいい歳の取り方をしてると思った。不器用な、でも精一杯娘を想う父親そのものでした。
予告を観たときは、正直お涙頂戴な感じもあるのかと思っていましたが、全くそんなことはなく。静かに、ただ静かに、けれどもとても丁寧に、そして優しく3人の心の機微が描かれていました。クリント・イーストウッドが音楽を担当しているのですが、その音楽もとても良かったです。
エンドロールが終わったあと何とも言えない感慨にふけってしまい、なかなか席を立ち難かったのですが、他のお客さんもそんな方が割といたみたいです。非常にシンプルでしたがその分ストレートに心に響く、ぬくもりを感じる作品でした。今思い出してもじんわり涙が出てくる。