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The King's Speech


エリザベス女王の父親、ジョージ6世。ひどい吃音だった彼と、彼を支える妻のエリザベス、彼の治療にあたるスピーチセラピストの物語。
まず特筆すべきはコリン・ファースの素晴らしさ。とても繊細で思慮深い、人間味溢れる国王を熱演しています。自らの吃音に悩みながらも、時は第二次世界大戦。国民の為に何よりも苦手なスピーチに挑む国王。そしてそんな彼を温かく陰から支える妻にヘレナ・ボナム=カーター。彼の吃音が精神的な物から来ることをすぐに見抜き、本質から治療しようとしたスピーチセラピストにジェフリー・ラッシュ。彼ら脇を固める俳優陣もさすがの演技でした。
2人の娘の良き父親、そして良き夫、と言う立場だけでいられたなら彼にとってはどれだけ幸せだったでしょうか。家族と過ごす時間が、きっと公務で追われている彼には唯一安らぎの時間だったんだろうなあ。胸がぎゅっとなりました。一人の人間として、たまたま生まれたのが王室だったと言うだけで、背負わなければいけなかったものが大き過ぎる。王様だって、完璧な訳ないものね…。
ジェフリー・ラッシュ演じるスピーチセラピストとの関係も、また血の通った、温かいものでした。ただ医療的な方法を試すのではなく、彼の心からの治療を試みたからこそ、あのような関係が築けたんだろうなあ。
とは言え、シリアス一辺倒ではなく、ユーモアもたっぷりとあって所々笑えます。そして最後には温もりが。見終わった後にじんわりと感動が押し寄せてくる、そんな映画でした。
久しぶりに、素直に「いい映画だなあ」と思える作品。多分もう一度見に行くと思います。
ちなみに日本では、2月に「英国王のスピーチ」の邦題で公開されるようです。ぜひ。