baby blue

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チョコレートドーナツ 感想(ネタばれです)

8月8日、浜松シネマイーラにて。

とっても良かったです。エンドロールで流れるRufus Wainwrightを聴きながら、じんわりと目が潤むような作品でした。

1970年代はアメリカですらまだゲイなどのマイノリティに関して理解がない時代。ゲイのカップルがダウン症の子供を育てる事に、世間の目はこんなにも厳しかったのか、と思いました。

親権を法廷で争う事になった時の、ポールの裁判での言葉がとても良かったです。どちらかと言うとポールはマルコにそこまで愛情があるとは思えなかったのですが、この裁判の時の言葉で彼のマルコに対する愛情をしっかりと感じる事ができました。

結局母親は同じ事を繰り返し、マルコはポールとルディとの楽しかった日々を思いながら街を彷徨い歩く。街の明かりがとても美しく、だからこそ独りさびしく歩くマルコの、後ろ姿がとても切なくてやりきれませんでした。

彼らカップルはゲイであり子供であるマルコはダウン症だけれど、彼らだけが持ち得たささやかな幸せは必ずあった筈なのに、そんな「普通の」幸せが許されなかった事が余りに悲しかったです。

最後にAlan Cumming演じるルディが歌う「I Shall Be Released」もとても素晴らしく心に響きました。音楽がルディの心情を表すのにとても効果的に使われていたように思います。

映画館を出てからも余韻が残る、とても心が締め付けられる作品でした。