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アデル、ブルーは熱い色 感想(ネタばれです)

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アデル、ブルーは熱い色」を観ました。8月22日、浜松シネマイーラにて。とても良かったです。見終わった後、帰りの道中でずっとこの映画のことを考えてしまう作品でした。

前評判では過激さばかり取り沙汰されている印象でしたが、それよりもアデルの気持ちの描写の繊細さが素晴らしかったです。何故だかわからないけれどエマに魅かれていき、一緒に暮らすようになって、けれど段々と埋められない寂しさを感じるようになっていく、その過程でアデルの気持ちが手に取るようにわかりました。

2人の関係が良好な時から、家庭環境や人生観の違いは如実に描写されていて、その違いもアデルの心が寂しさを感じてしまった要因のひとつなのでしょうね。
でもエマはアデルにやたらと小説を書けばいいと言っていたけれど、アデルは全く意に介する様子はなかったし、元々の基盤が全く違う2人の間に段々と溝が生じてくるのは仕方なかったのだろうと思います。

また、アデルの浮気がエマにばれてしまって追い出される場面では、エマに追いすがるアデルの気持ちがとてもわかってしまってきゅんとしてしまい、まるで自分も失恋したような気分にさせられてしまいました。その後2人が再会する場面、少しでも復活の可能性を信じてしまうアデルの気持ちに感情移入してしまって、すごく切なかったです。きっと失恋した事のある人なら、相手の行動や言動に少しでも可能性を見いだそうとしてしまうアデルのあの気持ちや行動、共感できるんじゃないかなと思います。

他にも、アデルの髪が風に揺れる様子やエマの青い目と髪の色、公園の木漏れ日や海面に反射する太陽の光など、色と光がとても印象的に使われていて、画的に美しくてとても素敵でした。最後の場面でアデルがブルーのドレスを着ていたけれど、エマの髪の色は既にブルーではなかったところも、2人の距離の隔たりを表しているようで、切なかったです。

 3時間と言う長い作品でしたがそんなに長く感じなかったのは、やっぱりアデルの気持ちになってしまって、感情移入しながら見てしまったからだと思います。女性同士の恋愛ですが、そこを除けば恋愛において誰もが経験する普遍的な感情を描いた映画だと思いましたし、その感情の描写の繊細さがこの映画の魅力だとも思いました。正直観る前は3時間もあるし、性描写は過激そうだしと観るのを迷ったのですが、観て本当に良かったです。劇場で観ずにあとでDVDで観ようものならきっと大後悔していたでしょう。

にしても、レア・セドゥは男前だなー。あれは女でもドキッとしてしまうのも納得。

 

こちらは、劇中でも使われていたLykke Li。これを聴くと、この映画を思い出してしまいます。