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baby blue

music / film / miscellaneous

博士と彼女のセオリー 感想

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3月14日、TOHOシネマズにて鑑賞。
前評判の高さから結構期待して観に行ったのですが、その期待を上回るとても素晴らしい作品でした。
まず何と言っても主演2人の演技が素晴らしく、言葉で語らなくても表情を見ているだけで涙腺が緩む事数回。きっとこの映画では描かれていない、もっと壮絶な時期もあったのだろうと推測してしまいますが、それだけに2人が病気と向き合い、共に人生を歩んでいき、最後に下した決断は納得せざるを得ないものだったと思います。

また特筆すべきは映像がとても美しかった事。全編淡い色調でまとめられており、強いこだわりを感じました。そして花火や結婚式のシーンの夢のような美しさ!素敵な過去を振り返るとき、人は実際よりもそれが遥かに良かったかのように思い出してしまうものですが、もう戻らない、そして2度と訪れない瞬間だからこその美しさや儚さが凝縮されたシーンだったと思います。この美しいシーンが観られただけでも、この作品を観て良かったと思える程でした。

それにしても、ホーキング博士が恵まれていたのは、高い知性があったこと、そしてそれが病気で侵されることがなかったこと、それを活かせる環境にいたこと、だと思います。もちろんご本人も大変努力をされたことだと思いますが、その点は不幸中の幸いと言ったところだったのではないでしょうか。

また原作者が奥さんと言う事もあって、幾分ジェーン寄りのストーリーになっている気はしました。勿論周囲の助けもあったのだと思いますが、子供も抱え、育児と看病と仕事と…では、ああいう選択をしてしまうのは仕方のないことに見えました。それでも、それぞれの人生をしっかりと歩んでいるのは本当に素晴らしいと思うし、授賞式の後での2人の会話もとても良かったと思います。

 

 

個人的な話になりますが、私の祖母はこのALSで亡くなりました。当時はまだこの病気は知名度がなかったのですが、近年のアイスバケツチャレンジや、またこの映画の事もあり、大分世間の認識も変わって来たと思います。家庭の事情もあり遠方に住んでいた祖母はずっと病院に缶詰めで、おそらく寝たきりになってから外の空気を吸う事は一度もなく、何かと手のかかる病気の為、普通の病院では手厚い看護を受けられる訳でもなく、寝たきりで体位変換も疎かにされていた為に床ずれが常時あり、その傷がただれて痛くても痒くても口に出せず…他にも色々と想像を絶する辛さだったと思います。
私も最初は時々手紙を書いていましたが、祖母の手紙の字が段々と歪んでいって、手紙の間隔が空くようになり、ついには返事が来なくなってからはほとんど手紙を書く事もなかったように記憶しています。私の手紙をとても楽しみにしていた祖母に、どうして返事を出すと言う、そんな言う簡単な事をしなかったのか、今でも時折思い出しては自責の念に駆られて仕方ありません。
この作品を観ている間も、祖母の事を考えずにはいられませんでした。まだ特効薬も治療法もないこの病気が、医学の進歩によって早く完治出来る病気になるようにと願って止みません。