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music / film / miscellaneous

John Williams サントリーホール

ジョン・ウィリアムズの来日公演に行って来た。
時間が経てば経つ程、私は本当にあの場所にいたのだろうかと思ってしまう位現実味がない。それほど夢のような時間だった。

彼の素晴らしさは今更私が語るまでもないけど、「ジョーズ 」と言えばあの恐ろしげな音楽だし「スターウォーズ」と言えばあのイントロ、「ハリーポッター」なら…と、その映画と同時に自然と頭に浮かぶあの旋律。それらは映画ファンでなくとも耳にした事があると思うし、それが彼のすごいところだと思う。
そんな御歳91歳ジョン・ウィリアムズの30年ぶりの来日(そして年齢的に多分最後)とあらば行かねば!と気合い入れてチケットゲット。

初めて行きましたサントリーホール

初めての会場と言う事もあってだいぶ早く到着したものの、暑くて周囲を散策する気も起きず、かと言ってゆっくりお茶する気分にもならなかったのでとりあえず椅子に座ってひたすらぼんやりと時間が過ぎるのを待ちました。
いざ開場して入ってみると、なかなか豪華なシャンデリア。(写真ないです)

席は2階のLBブロック。ちょっと奮発して真ん中くらいのお値段の席にしました。
ステージ全体も見渡せて、ちょっと遠いけどギリギリ肉眼で見えるくらい。

第一部はステファン・ドゥネーヴ指揮。
1曲目は、1993年の日本公演の為に作曲された「雅の鐘」。
SKO(サイトウキネンオーケストラ )の、それぞれの楽器の音がお互いを引き立てつつ見事に調和してまとまり、全ての音に艶があって一糸乱れぬその演奏と迫力にまず感激。この演奏だけでも来た甲斐があったと心底思った。
2曲目は「遥かなる大地へ」の組曲「Suite from Far&Away」。既にこの時点で、奏でられる音の素晴らしさとその美しいメロディに感動してしまって目が潤む。
続くETでは、空に駆けていく自転車の場面が思い出され、またしても胸がいっぱいに。まだジョン御本人が出てきていないのにも関わらずこの時点で感極まってしまった。

そして休憩を挟んでいよいよ第二部。拍手の中、ジョン・ウィリアムズが登場。
指揮台へ向かう足取りは緩やかで年相応ではあったものの、いざタクトを振り始めるとそのキビキビした動きに驚きつつも感激。

最初のスーパーマンマーチでは、その勇壮な迫力に圧倒され、タクトを振るうジョン・ウィリアムズに「スーパーマンはあなただよ…!」と思うことしきり。
またハリーポッターでは「あなたが魔法使い…!」と思わざるを得ないほど、その魔法のような音楽の素晴らしさに魅了された。勿論演奏しているのはオーケストラなんだけれど、まるで指揮棒の先から全ての音が紡ぎ出されているように思え、誇張なく、彼のタクトは本当に魔法の杖のようだった。

ちなみに私自身はこのジャンルに疎いので全く知らなかったんだけれど、SKOってすごい方々らしく、何という贅沢な時間だったのだろうと今になって改めて思っている。素人耳で聞くのが申し訳なく感じる程の至福の音色。まとまりがありつつもひとつひとつの楽器の音が際立ち、繊細ながらも豊かな表情を持って鳴り響いており、彼のタクトに吸い付くように奏でられる音色の、演奏の素晴らしさと言ったらなかった。そしてその作曲者が目の前にいる。生きてて良かった…。

中盤からもうずっと、1秒1秒が過ぎ去るのが本当に勿体無くて、最初から今日のこの時間を永遠にループしたいとさえ思ってしまった。

本編終盤ではスター・ウォーズの楽曲が奏でられ、頭の中に浮かぶのはあの名場面の数々。最後の「王座の間とエンドタイトル」では、3人が並ぶEP4のラストからお決まりのアイリスアウト→エンドロールが思い出されて目頭が熱くなった。

そしてアンコール。
ヨーダのテーマ」に続き「レイダース・マーチ」。この日の演奏曲リストにはこの曲は入っておらず、ちょっと残念に思っていたら、アンコールで披露され歓喜
実は私がいちばん聴きたかったのがこの曲で、と言うのも私と彼(の音楽)との出会いがこの曲だったからに他ならない。かつて吹奏楽部でトランペットを担当していた中学生の私が演奏した彼の唯一の楽曲。今夏新作が公開された「インディ・ジョーンズ」の、映画は観たことがない私の身内も音楽は知っていると言うくらい余りにも有名なテーマ。トランペットが勇壮なメロディを奏でるこの曲を、まさかジョン・ウィリアムズご本人の指揮で聴けるなんて、私の人生で考えたことすらなかったのに、もう感激で胸が震えるとはこのことか…!と。神様この世にジョン・ウィリアムズと言う存在をありがとう…!と感無量。
そしてとうとう最後が「帝国のマーチ」。数えきれないくらい耳にしている筈の曲も、素晴らしい演奏で聴くと一段と重厚で威圧感があり、その音に圧倒されてしまった。

終わった瞬間に会場総立ちのスタンディングオベーション。そしてジョンがステージを去っても拍手が鳴り止まなくて、私自身はずっと聞いて来た彼の音楽への感謝と言うか、もう本当に素晴らしくて、ただただその想いの一心で、許されるならずっと拍手していたかったくらい。

私のこれからの人生でこの夜を超えるような経験をする事ってあるのかな?と思う位唯一無二の時間だった。
圧倒的な芸術に触れた後って本当に何もする気が起きなくなると言うか、この日以降しばらく彼の音楽しか聴けなかったし、聴きながらまた感激して涙を流すなど後遺症がすごかった。

余談ですが彼は最後に「おやすみ」ポーズを取るのが恒例らしく、これがまたとってもお茶目で、偉大な人に使っていい形容詞かわからないけどかわいかった。
あと最後にステージを去る時に、2階席でアイドルのコンサートみたいにボード掲げてた女性にニコニコ手を振っていたのも大変微笑ましかった。
来てくれてありがとう。どうかお元気で。



パンフレットとトートバッグ買いました。