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サムサッカー Thumbsucker(ちょっとネタバレ)


10/5、名演小劇場にて。親指しゃぶりがやめられない17歳の少年、ジャスティンの物語。
何かオープニングのタイトルバックから目がうるうるしてしまったんですが何故でしょう。映像と音楽がすごくキレイで、やわらかくて、優しくて、それに初っ端からちょっとうるっと来てしまった。ずーーーーっと見たかった映画だったので、めちゃ期待して行ったんだけど、それを全く裏切らず、上回ってくれる素晴らしい作品でした。
マイク・ミルズは初監督だけあって、作品自体とても素直で瑞々しかった。全然歪んでないところがすごく素敵。この先も、この視点だけは変わらないでいて欲しいです。あと俳優さんがみんな良かった。主役のルー・プッチはこれから期待大だと思います。
ストーリーは17歳の少年の葛藤と成長を中心に描かれてますが、青春映画と違うのは、大人もみんな迷い、悩んでると言うこと。所々身に染みる台詞があって。弟の「みんなお兄ちゃんを心配するから僕がしっかりしてなきゃいけないんだ」とか。うわっと思った。あと、最後のほうのキアヌ・リーブスの台詞がもう軒並み良くて。涙腺崩壊。彼はすっとぼけた顔しておいしいとこ持って行きました。ちょっとあやふやですが「人はみんな何かに依存して生きている」「ありのままでいいのに、治す魔法の薬を探してじたばたする」みたいなこと。そして極めつけは「答えのない人生を生き抜く力が大切なんだ」と言う台詞。もうね、正にその通りだと思った。この辺からエンドロールまで泣きっぱなしでした。ちょっと音楽使い過ぎ?とか思ってたのに、最後の「Move Away And Shine」は反則ですよあれ。
私は所謂思春期にはな〜〜んにも考えてなかったので、ハタチ過ぎてからもやもやとか迷いとかを味わったのですが、何か異様に感情移入してしまった。と言うか、人生に迷うのに年齢なんて関係ないんだよね。この映画に出てくる人は、みんな何かしら抱えて、迷って、右往左往、試行錯誤をしてる。そして、それは紛れもなく私であり、またあなたでもある。そんな感じ。そしてそれをそっと、優しく、あたたかく、包み込むようなやわらかい映像と音楽。素敵な作品でした。ほんと良かった。見て良かった。
★★★★☆ 4.5