baby blue

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愛より強い旅

渋谷シネアミューズにて。ロマン・デュリス演じる主人公ザノが、恋人ナイマと共に自分のルーツを探す為アルジェリアへ旅に出る。トニー・ガトリフ監督がカンヌで監督賞を取った作品だそうです。基本的にロードムービーがどちらかと言うと苦手なのですが、これは割と大丈夫でした。
最初のシーンから音楽がすごい。全編通してエネルギッシュな音楽が流れてて、それだけで圧倒された。印象的だったのは、ザノが「宗教は?」と聞かれて「音楽」と答えるシーン。とても素敵な答えだと思った。あとはナイマの「どこにいても疎外感を感じる」って台詞かな。どこにも属さない、自分は何者なのか。フランスでは最近移民による暴動が起こったりしたけれど、こう言った疎外感も起因している気がする。日本人にはわかりにくい感覚なんだろうな。ちなみに原題の「EXILS」はフランス語で「放浪者」とか「はみ出し者」って意味らしいです。邦題と全然意味合いが違う・・・。
個人的な話になるけど、つい最近自分の曽祖父が浄瑠璃をやっていたと言う話を聞いて何だかとてもびっくりしてしまった。父方の祖父母は私が生まれた時には既に亡くなっていたし、母方ももう病気で話を出来ない祖父しかいなくて、もっと話が出来る時にいろいろ聞いておくんだったなあ、と思う事がある。私の両親は九州出身だけれど、母方の祖父は秋田の生まれらしいし。この映画のザノのように、自分のルーツを知りたいと思うのって、とても自然な事なんだと思った。
スクリーンから、その街の空気とか雰囲気が感じられて、それがすごく良かった。何だかすごく鮮やかな印象を受けた。そして、一番圧巻だったのはラストのトランスのシーン。かなり長くて正直ちょっと辟易したけれど、すごかった。ああ言う情熱的なパワーって日本人にはない。
あとはロマン・デュリスがやっぱりいい!画面にいるだけで存在感がすごいし、とても絵になる。これから先もやっぱり注目していこうと思いました。
にしてもやっぱり旅っていいなあ。この二人のように目的地だけがあって、そこへ行く手段は決めずに運に任せていくって素敵過ぎる。私もいつかこんな旅に出てみたい、と思ってしまった。
★★★☆☆ 3