baby blue

music / film / miscellaneous

ランド・オブ・プレンティ




2/4・浜松東映にて。私はヴィム・ヴェンダース監督の作品はあの「パリ、テキサス」と「ベルリン・天使の詩」しか見たことがないのですが、何となく惹かれて見てきました。やはりこの作品も風景がとても綺麗で、画になります。さすがだなあと思いました。
9.11以降のアメリカ。イスラエル育ちのラナと、ベトナム戦争の後遺症に苦しむ伯父ポール。ラナは人種・民族などに偏見がないのに対し、ポールはアラブ人を見るだけで怪しみ、自分の手でアメリカを守る為に様々な策を練る。傍から見ているとポールの行動は突飛で異常なのだけれど、きっとこういう価値観の人がアメリカやヨーロッパには少なくないのだと思う。
見ている側としてはポールの行動が滑稽に映るのと同時に、彼がアメリカそのものを体現しているような気がしてなりませんでした。自分に力があると信じ、その力を駆使しようとするけれど結局やっている事は愚かなのだと。この作品にはテロ反対とかアメリカ批判の類の押し付けがましいメッセージ性がこめられている訳ではないのに、見終わった後にそう言った行為の愚かさにふと気付かされます。最後のグラウンドゼロの空がとても印象的でした。

★★★☆☆ 3.5